京論壇2015ブログ

北京大学と東京大学の学生による国際学生討論団体・京論壇(きょうろんだん)の活動を報告するブログです

加藤嘉一さんをお招きして

こんにちは。京論壇2015副代表の磯野です。

 

 先日、京論壇の卒業生で国際コラムニストの加藤嘉一さんをお招きし、現役メンバーがお話を伺いました。

 京論壇は今年で10周年を迎えます。卒業生はゆうに100人を超え、そのネットワークも京論壇の貴重な財産です。今年は特に過去を振り返る活動にも注力していく予定であり、今日ご報告する会はその一環です。

 

 加藤さんは京論壇立ち上げに関わったメンバーの一人。北京大学国際関係学院大学院修士課程修了後、中国に関する日本語・中国語の書籍や日中英語のコラムを多数執筆され、微博(中国版twitter)のフォロワー数はおよそ150万人を数えます。先輩として、そして中国の専門家として、京論壇がどのように議論をしていけばいいのか伺いました。

 

 加藤さんはまず、議論に向き合う上での3つのprinciple(原則)を挙げました。(1)一つ一つの言葉の定義についての議論を怠らないこと。(2)お互いの人生観、世界観まで掘り下げること。(3)そのためにも、敏感なイシューから逃げないこと。

 私(磯野)は2014年の議論にも参加していましたが、この3つは議論が面白くなるためにとても重要で、かつ難しいことです。北京大生を本当に理解するには、粘り強く問いかけ続けなければならないという思いを新たにしました。

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 さらに各分科会の議論の枠組み案に対してフィードバックを頂きました。ここでは全て紹介することはできませんが、たとえば平和分科会については「最初に『平和』の定義を2、3日議論してもいい。戦争が発生していないことなのか。社会が、家族が一緒にいることなのか」。日本・中国の学生にとって平和とは何か、確かに違いがありそうです。早速次のミーティングから枠組みを再検討しています。

 

 最後は質疑応答セッション。反日感情愛国心、政治体制などについて中国の実情を知りたいという質問が相次ぎました。

 中でも印象的だったのは、京論壇はとても限られた人数でやっているが、意義はあるのか、という質問への加藤さんの答え。まずは個人のことを考える。「一番大事なのは好奇心。知りたくて、京論壇というプラットフォームに参加して自らの知的好奇心を満たすことが出発点」。その上で、社会に対しては「10年間やってきて、100人以上の卒業生がいる。それぞれが京論壇のことを意識していることで、掛け算的な効果があると思う」。

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 創設メンバーの思いに触れて、メンバーそれぞれが京論壇で何を目指すのか改めて考える機会になったと思います。

 

京論壇2015、始動。

みなさんこんにちは。京論壇2015代表の杉山です。

実際には始動してから1ヶ月が経っていますがタイトルというのは楽なものです。時制を省いてよいのをいいことに、「始動しました」ではなく「始動します」のように見せかけてしまう。始動するのが遅かったのはブログであって京論壇自体ではないのに。でも「〜、始動。」って見た目がかっこいいですし、これから何が起きるのだろうとなんだかどきどきさせられませんか。

 

さて本年度の京論壇は、代表の私と副代表3名、議長3名、分科会メンバー各4名×3の計19名で構成されており、北京大生と合わせて38名で議論を築き上げていきます。

本年度設置した分科会はサステナビリティ分科会、階層社会分科会、平和分科会です。日中を語る際には欠かすことのできない議題が揃い、9月の本番セッションでは2週間にわたってアツい議論が繰り広げられることと思います。

 

京論壇2015は「気付く議論 築く未来」を掲げて活動しております。学生が2週間議論をして得られるものは何か。それは「結論」ではなく「経験」だと思います。議論を通じて相手を正しく見つめること、そして相手を鏡として自分を正しく見つめること。相手と自分とを常に行き来する中に「きづき」は隠れているように思います。当たり前のようでいて、こんなに難しいことはありません。だからこそ、この姿勢を常に忘れずに2週間議論することが大きな成果に通ずるのだと思います。

 

先日、昨年度の報告書が完成しました。まだご覧になっていらっしゃらない方はお近くの京論壇メンバーからもらうか、または京論壇のホームページからもダウンロードできますのでぜひ御覧ください。

昨年度の報告書の末尾、次期代表の挨拶で私はこんなことを書いていました。

 

“ネット上で繰り広げられているのは、互いについての決して十分ではない情報量と憶測に基づく言葉の投げ合いです。受け手を想定せずに投げられたぞんざいな言葉は誰かに受け止められることもなく、ただただ蓄積されて山積みになっていくのです。そしてその山があまりにも大きくなった時、日本は中国の姿を正しく見つめることができなくなってしまうのではないでしょうか。”

 

当時はまだ代表になってすぐで、この先の言葉を続けることはできませんでした。しかしそれから半年が経った今、今年の京論壇の活動を見据えながらこう続けたいと思います。

 

積み上がった言葉の山を挟んで向かいあうと相手の姿がよく見えなくなります。そのような状況で互いにキャッチボールをしても、ボールがよく見えずにミットから取り落としたり、山にぶつかってしまったりとなかなか上手くいきません。それどころかボールが落ちれば地震がおき、山にぶつかれば噴火を誘発してしまいます。山から噴き出すもくもくとした灰色の煙は互いの視界をさらに悪くするものです。この悪循環をとめるには噴火口を探し、震源地を探し、少しずつ山を切り崩していくしかありません。

 

本年度の京論壇はそんな議論を目指していきます。互いの不信や疑念を言葉にすること、どういう状況によってそれが生まれているのかを明らかにすること、どうしたら信頼関係を築いていくことができるのかということ、、、大学生の目線から話し合い、少しでも視野を晴らすことができればと思っております。

 

後続のブログでは具体的な議論の準備の紹介をしていきます。

このブログを通して本年度の京論壇の活動を見守っていただければ幸いです。

はじめに・キックオフ合宿のご報告

 

こんにちは。

 京論壇東京大学実行委員会2015で階層社会分科会の議長を務めます佐藤です。

 

 先日参加者12名が決定し、ついに東大側の19名が揃いました。

 みなさまのご理解ご協力によって弊団体は設立10周年を迎えることができました。設立10周年そして戦後70周年の節目であるこの年に貴重な機会を頂けた喜びと責務を噛み締めて実りある活動を行っていく所存です。

 京論壇2015をどうぞよろしくお願いしたします。

 

 さて、初回である今回の記事では6月6日と7日に行われたキックオフ合宿のご報告をさせていただきたいと思います。

 

 東京大学検見川セミナーハウスで行われた合宿は東大メンバーの顔合わせと京論壇の特徴である「価値観の議論」を体験することを目的として行われました。

 概要は以下になります。

  • 6/6(土)
  1. 自己紹介
  2. 日本語ディスカッション
  • 6/7(日)
  1. レクリエーション
  2. 英語ディスカッション

 

 

 京論壇というと「東大生」・「北京大生」間の交流に最も焦点が当たりますが、

実は京論壇は「東大生」だけ見ても「北京大生」だけ見ても多様性があり魅力的な人財の宝庫でもあります。初日に行われた自己紹介では参加者全員がそれを感じられたのではないでしょうか。

 様々な学生団体で議論を経験してきた議論経験が豊富な上級生、海外生活が長く海外経験や語学力に自信のある下級生や、母国母国の学生を今までとは異なった視点で見つめたいと参加を決めた留学生など様々なメンバーが今年も集まりました。

 

 

 自己紹介の後に行われた日本語ディスカッションでは、ウォーミングアップに「北京大生に聞きたいことは何か?」を話し合った後「クローン人間は認められるべきか?」を議論しました。

 前半は議論慣れしたメンバーが綺麗に議論を進めていく場面も見られましたが、後半の議論では「人間とクローン人間の違いは何か?」、「クローン人間に人権は認められるべきか?」や、さらに突っ込んだ「人権が認められる条件とは何か?」「そもそもなぜ人権は認められるべきなのか?」といった個々人の常識や価値観を改めて問い直すような問いかけが随所で見られ、非常に白熱した議論となりました。

 議論の後には「京論壇の難しさと面白さが分かった」という声を参加者から聞くことができ、企画者冥利に尽きました。

 

 その後に行われた懇親会は、昼間に互いの価値観を交換しあったせいか、その日始めて顔を合わせたメンバーばかりとは思えないほど和気藹々とした会になりました。

 

 

 二日目は午前中に近くの体育館でレクリエーションを行いリフレッシュした後に合宿最後のコンテンツとなる英語ディスカッションに臨みました。

 

 英語ディスカッションでは、まずいくつか特別なルールを設定した英語の伝言ゲームをチーム対抗で行いました。

 このゲームでは単なる「語学力」だけではなく、先を見通して戦略をたてる力、その場で臨機応変にそれらを変える柔軟性やそれをチームに浸透させるリーダーシップなどが求められていたため、英語力に自信のあるメンバーも英語を使ってチームで「議論」する難しさを改めて実感していたようでした。

 最後に“Is single-sex school better for education?”というテーマで議論をしました。この議論では、英語に不安があったメンバーも前半のディスカッションでその面白さや自分の役割に気づくことができたのか積極的に発言して議論に参加していました。2つの議論を通して英語力に自信のあるメンバーも不安のあるメンバーもそれぞれが自身の課題を発見することができ今後につながるものになったのではないかと思います。

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 東大メンバーの親睦を深める、京論壇の議論を体感するという今回の合宿の目的は十二分に果たせたのではないかと思います。

  

 今後は3つの分科会毎に分かれて各々本番セッションに向けて準備を進めていきます。そちらの様子も今後当ブログで紹介させていただく予定ですので、ぜひご覧ください。

 

 それでは今後とも京論壇2015をよろしくお願いします。

 

 

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